現代におけるタロットは，これまでの歴史において様々な脚色を受け，現在では占星術やカバラなどの種々の魔術と関連付けられてきました。

 

しかし，これらの”偽史”はまた，社会的事実として今日でも占いの世界に受け入れられています。果ては，カードの読み方などの教本が数多く出版され，その多くは，矛盾を抱えたまま標準化されしまった”カードの意味”を，占われる相手に突き付けるというものになります。また，占いは強く商業化の影響を受けており，占いを受ける人はおろか，これからタロット占いをしようという人たちに対してマネジメントを行っているという業界の実情があります。

ところが，タロットというのは本来そのようなものではありません。
タロットは，運命論・決定論的な世界観を前提としており，その未来を予知しようとしたり，将来どうするべきかの方針を伺い立てたり，あるいは現状を理解したりするためのツールです。なので，普段から運命や決定論を支持していない人にとっては，自分とは異質な世界観に身を置いてみることが求められます。重要なのは，コールドリーディングや，タロットの教科書通りの解釈ではなく，カードから何を感じ，カードが示す寓意から自身の中には存在していなかった観点から悩みを再観察するという行為なのです。つまり，タロットの遊びというのは，施術者がタロットを引き，現れたカードを通じてクライアントと対話をし，将来どうなるかの可能性を考えていくことをするためカウンセリングとも言えます。それゆえに，タロットの寓意を読み取ることを学んだ施術者が確かに必要です。しかし，それ以上は寧ろ必要なく，タロット・カウンセリングを受けたら自分でタロットを引き，解釈活動(すなわち，自分で自分をカウンセリング)することも可能なのです。

だとしたら，なぜこのタロット・カウンセリングが必要なのでしょう。それは，タロットは確かに自分だけでは喚起されない発想を喚起するための寓意的な象徴を示してくれますが，それを”自分”だけですべて取りつくすことができるとは限らないからです。つまり，自分だけで悩まず，他人とタロットを解釈すること，すなわち，タロット・カウンセリングが有用になります。

もし興味がありましたら，ご連絡いただければ幸いです。
当方，普段は哲学・精神医学・カウンセリングにかかわる研究・職をしております。

気軽にお悩み相談などしていただければと思います。
料金設定は，スーパーの一角に入っているような占い館より良心的に設定しております。

主要参考文献: Seligmann, Kurt(1948). "The History of Magic". Panteon Books